学生時代の塾〜ソフィアセンター〜

 左下の先生が塾長の北山先生です。カトリック教徒の先生は、本当に心の広い方で、生活費に困っていた私たち講師によく授業の後夕食をご馳走して下さいました。佳代子は北山先生にとてもなついていて、よくお世話になっていたようです。
 左上の先生が松田先生です。九州大学を退学してわざわざ地方の無名私大に籍を置いた松田先生は、高校時代に100メートル走で10秒6という九州歴代2位の記録を出しながら、オリンピック強化選手の申し出を断ったり、大学卒業後英国航空から日本人でただ一人採用の声がかかったにもかかわらず、それも断って、福岡に戻って「英修館」という英語の道場を作った大物です。
 右上の小柄な先生は谷岡先生。四国は愛媛の出身で、大変なロマンチストでありながらコメディアンでもあり、私たちをいつも笑わせてくれました。

 現在、ソフィアセンターの花栗教室も新栄教室も閉じられてしまったようですが、私たちOB・OG(講師も生徒も)の心の中では、永遠に大きな存在であり続けることでしょう。ソフィアセンターに栄光あれ!

 私が埼玉県草加市の獨協大学に在籍していたとき、アルバイトで英語の講師をしていたのが草加市の松原団地と新栄団地に教室を構えていた「ソフィアセンター」という小さな補習塾でした。ほとんどが獨協大学の教員志望か教育関係業種志望の学生で成り立っていたソフィアセンターは、本当に良き先輩・同僚との出会いの場でもありました。みんな子供が大好きで、それこそ時給など関係なく、オーバータイムで授業に夢中になっておりました。まだコピー機が導入される前だったので、青焼きでプリント教材を作ったり、とにかく何から何まで手作りの塾でした。私は最後の一年間を専任講師として月給制で働かせてもらいましたが、今の私の基礎を築いてくれたのは紛れもなくこのソフィアセンターでの経験だったのです。

 中央の学生が私だと気づく人は今ではまずいないでしょうね。当時は本当にまだまだお子様でした。そしてこの古びてしまった写真に写っている子たちは、この時点では確か中学2年生だったと思いますが、私が6年生のときから受け持っていたクラスです。彼らとの付き合いは現在もまだ続いているのですから、人との出会いは本当に大切にしたいものですね。
 これは新栄教室での新栄中学校の生徒たちの写真です。佳代子は彼らと同じ学年でしたが、佳代子が通っていたのは松原団地の花栗中学校でしたので、私が佳代子のクラスの英語を担当するようになったのは、松田先生が九州の福岡に帰られた後でした。佳代子に言わせれば「いじめたら泣いちゃいそうな先生」だと思ったそうです。そして佳代子は私には至って反抗的な生徒でした。心が広く包容力のある松田先生に心酔していた佳代子にとって、私はあまりにも頼りない存在だったのでしょう。